
おおみそか。実況前!
解説は武田修宏さん。かっこええ方でした。

国立競技場で!
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
私は例年通り、年末年始は東京で過ごしました。
第84回全国高校サッカー選手権大会中継のためです。
今回は地元・滝川第二高校初戦の実況担当、しかも相手はサッカー王国・静岡の代表
常葉橘が相手とあって、かなり気合いを入れて神戸を発ちました。
結果は、ご存じの通り滝川第二の勝ち(2-0)。
そのまま、ベスト8まで進みました。
私は、2回戦から滝二のベンチリポートを担当。
主に、試合中のベンチの動きを伝えました。
その過程で当然、選手の“球場での家”「ロッカールーム」にも入ります。
強豪校の某監督は言います、
「試合前、ハーフタイムあそこで何を言うかが非常に難しい。
その一言でチームが良くも悪くも変わる・・・」と。
それだけ、特別な存在である「ロッカールーム」。
今大会の滝二・黒田監督(56歳)はどうだったのでしょうか。
1月2日中京大中京戦(愛知)の試合前。
相手にはU―18代表FW伊藤(翔)がいるため、DF陣に直前までアドバイス。
「シュートの打てないポイントに釘付けにしよう!」
さらには、
「無駄な失点は避けよう。体を張ったプレーを!」
とディフェンス面に関する指示がほとんど。
今回のチームは守りに課題があると言われていましたし、初戦も無失点で切り抜けたので気を引き締める意味合いが強かったかも。
2-0で勝利。前半0-0の中、好守も光った試合でした。
1月3日大津戦(熊本)のハーフタイム。
1-0で前半終了。
汗びっしょり、息も荒い選手の気持ちを落ち着けてから、言葉を発した黒田監督。
「どうする、あと(残りの)40分?」
選手に問いかけました。ビックリする私をよそにイレブン「攻めましょう!!」
攻撃的なサッカーが持ち味の滝二。まさに、一丸でした。そこで、
「分かった。ただ、もう一点取りに行く前に、考えよう。まずは、守備のことや!」
と、ディフェンス面を再チェック。
このあたりの手綱さばきは、高校指導歴22年、さすがでした。
後半2点を取り、3-1で優勝候補に挙げられていた大津に快勝です。
そして、迎えた大一番。
「事実上の決勝戦」とまで言われた準々決勝・鹿児島実業(鹿児島)戦。
前半0-1で折り返す中、ハーフタイムで
「このままだと、あっという間に終わってしまうぞ!!」
という今大会一番激しいげきを飛ばした黒田監督。
後半、風上に立った滝二は優位に立ち、あわやというシュートを放ちながらも残念ながら力及ばず0-1で敗戦。
そして、試合後のロッカールーム・・・。
「今年の3年生は・・・・、本当に・・よくやってくれたなあ・・。
歴史に残る1年やった・・。
これで、終わりなんやなあ・・・。そんな気が全くしない・・・、こんな年もあるんやなあ・・・。」
およそ1分、黒田監督は声を絞り出して、選手をねぎらっていました。
何とか、力を振り絞って・・・。
そう、今回のチームは発足当初、それほど力がないと言われていました。
新人戦でもここ数年は黒田監督もコーチに指揮を任せていましたが、このチームは違いました。
「勝つことで自信を持たさなければ。」
そして、チームは新人戦優勝。
そのまま、総体・選手権と無敗のまま、一年を終えたのです。
端から見ていても、この一年で主将・大久保君を中心に大きく成長したチームでした。
ですから、試合後のロッカールームで、ああいった言葉が出てきたのでしょう。
もちろん、そんな監督の姿を見て、言葉を聞いて選手は号泣。誰一人として涙を見せない人間はいませんでした。
もちろん、私も・・・。
ロッカールームには様々なドラマがあります。
ドラマの数だけ、涙もあります。
2006年、年明けからそんな空気に触れあえた事を誇りに今年も一年しっかりと取材をし、スポーツ中継に携わっていきたいと思ったのでした。