
2024年NHK大阪放送局で行われたクロスロード研修

和歌山県串本町の取材

串本町の津波避難訓練

訓練後の住民との話し合い

2025年12月串本町のシンポジウム
関西 民放NHK連携プロジェクト
兵庫県神戸市中央区に本社があるサンテレビは、1月17日午後5時から阪神淡路大震災31年の報道特別番組「バトン1.17」を放送します。番組のサブタイトルは、「守りたい、だから伝える」。これは、関西の民放6局とNHKが局の垣根を越えて、震災伝承や防災で連携しようというプロジェクトのキャッチフレーズです。各局の記者やアナウンサーらが和歌山県串本町の津波避難訓練に参加し、住民、行政とともに「諦めない避難」について議論しました。
阪神淡路大震災から31年
現場を経験したテレビ局員が次々と退職し、阪神淡路大震災を知らない世代が震災を伝える時代を迎えました。教訓を継承し、命を守る報道を目指して、関西の民放6局(朝日放送テレビ・関西テレビ・サンテレビ・テレビ大阪・毎日放送・読売テレビ)とNHKは、2024年4月、局の垣根を超えて連携する取り組みをスタートさせました。
2024年12月NHK大阪で行われた「災害報道の教訓を伝承するクロスロード研修」
サンテレビ 小松田梓左記者
「各局がしっかりと手を結んで、なるべく被災者の方への負担を減らすような形を、競争ではなく全局で考えていく必要があるのではないかという議論に至りました」
NHK大阪 藤島新也記者
「この30年、なかなかこういう横の連携が取れなかったと聞いた。こういうところで意見を交わしたり、悩んだ時に相談とかをしながら一緒に悩んでやっていく」
各局の若い世代が中心となって勉強会やシンポジウムに参加。2024年から2025年にかけて、和歌山県串本町を訪れ、津波避難の課題や住民の意見を取材するなど、連携を深めてきました。各局がその先に見据えているのは、南海トラフ地震です。想定される死者は、最大で29万8000人。今後30年以内に発生する確率は、60%から90%程度以上とされています。(別モデルの計算では20~50%)
数分で津波が…高齢者の津波避難を諦めない 住民・行政・メディアがともに考える
本州最南端のまち、和歌山県串本町。人口約1万3000人の半数ほどが65歳以上を占める少子高齢化が進むまちです。2025年11月、連携プロジェクトの一環で8つの放送局が4カ所に分かれて、住民の避難訓練を取材。このうちサンテレビは、人口約400人の田原地区を担当しました。
姉の家に駆けつけた住民
「あんた逃げなあかんねんで。高台にみんな逃げているから早く逃げなさい。今すぐ今すぐ」
津波避難タワーに上る住民
「避難が今だったら流されているよ。これだけ遅くなったら」
和歌山県串本町には、最短2分で1メートル。その後、最大で18メートルの津波が想定されていて、過酷な想定で避難を諦めてしまう人もいるそうです。住民400人のうち訓練への参加者は47人。このうち約30人が指定避難所の旧田原中学校に集まり、意見を交わしました。
住民
「近所でも数人逃げられてない。姉は防災行政無線が聞こえなかったと。その時どうするのかということで、やっぱり近所の人に声掛けてもらって行くのが一番じゃないかなって」
記者:声掛けで気づいた方いらっしゃいますか?聞こえなかった?
住民
「聞こえにくいんです」
住民
「近所の1人は寝たきりで逃げられない。もう1人もヘルパーさんが入っているので、20人も90歳を過ぎているからもう逃げない。だから体を柱にくくりつけますとそう言われました」
住民
「柱くくりつけるって自分の体を?」
住民
「うん。もう逃げないって」
記者
「自分が家族だった時に本当に置いていけるものなのかと思ったら…」
諦めずに1人でも多く避難できる方法はないのか?
1カ月後の2025年12月、串本町役場でシンポジウムを開き、住民とともに意見を交わしました。
住民「最終自分が逃げるでという気持ちが大事なのかなと」
住民「山に逃げたとしても山が崩れたらどうするか」
朝日放送テレビ 岡谷藍記者
「自分も和歌山出身で、津波が来たら逃げろみたいな意識もあったけど、実際に逃げるとなった時に高いところは山かと…。一緒に皆さんと登って険しいし大変やなと」
サンテレビキャスター 藤岡勇貴
「じゃあ諦めていいのかというとそうではないと思う。原則は徒歩だが、車というのは1つの手段でもあると」
毎日放送 福本晋悟記者
「行政の方が防災をやるだけではありません。住民の方がやるだけでもありませ
ん。メディアも一生懸命お伝えします。毛利元就の三本の矢のように一緒になってものごとを考えると、新たな発想が浮かんでくるなと思っています」
関西の民放とNHKの7局は、2月15日(変更の可能性も)、神戸市中央区の人と防災未来センターでシンポジウムを開き、津波避難の課題について話し合う予定です。