

関西学院大学 山中速人名誉教授
参議院選挙の投開票日が迫る中、SNSでは、候補者など選挙に関するさまざまな情報が飛び交っています。
投票先を決める上で判断材料の一つとなりうるSNSと私たちはどのように向き合っていくべきなのでしょうか。
7月3日に公示された参議院選挙。
有権者が候補者の演説をスマートフォンで撮影する姿も見られ選挙に関する情報もXやYouTubeなどのSNSから入手できるようになりました。
メディアリテラシーの専門家である関西学院大学の山中速人名誉教授は、政治に関心がなかった人たちが興味を持つきっかけになる一方で誤った情報に惑わされる危険もあると指摘します。
「日常生活の中で政治的な議論をしたり熱っぽく戦わせたりする経験がないとSNSだけの中でインフルエンサーから強烈に語り掛けられると初めての経験だから大きく影響を受けてしまう。感情的に自分の政治行動が左右されてしまう」
SNSを活用することで、都市部以外に住む人や若い世代など幅広い層が候補者の政策や主張を知ることができる一方で、懸念されるのが誤った情報の拡散や感情に任せた誹謗中傷です。
去年11月の兵庫県知事選では、候補者や関係者に関する情報が事実とは異なる形で広がり一部では誹謗中傷に発展するなど問題になりました。
過激な情報ほど関心を集め、拡散されやすいといいます。
山中名誉教授は次のように述べます。
「SNSのプラットフォーマーがアクセス数に応じて広告料を支払う構図を作った。こういう構造がとにかく注目を集める情報を流せばいいという傾向に拍車をかけたと思います。」
政治を身近に感じるきっかけにもなるSNS。
一票の重みがあるからこそ、情報に触れる際にはすぐに信じたり拡散したりせず事実かどうか冷静に情報の出所を確認する姿勢が求められます。
山中名誉教授は指摘します。「私たち1人1人の市民ができることがある。これがメディアリテラシーを高めるということ。メディアリテラシーはメディアを批判的に読み解き使う能力のことです。例えばその情報は正確なのかどうか、確からしさがあるかどうか、情報源は何なのか、誰が発信しているか、その人が信用できるのかどうか、そういったことも大事。」