発達障害の息子へ 医師である父親が施設を開設

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稲美町の医師・松尾太郎さん。7歳の長男に発達障害があり、言葉の遅れなどの特性があります。

(松尾さん)
とにかく優しい。人が泣いたり怒ったりするのが嫌い。泣いてる子がいたら寄り添って面倒見てあげて、妹や弟にも優しいのがすごい。

松尾さんの長男が発達障害と診断されたのは2歳の頃。寝つきが異常に悪い、偏食が激しい、気に入った物へのこだわりが強いといった特性がありました。

(松尾さん)
まさか、自分の子がと。何日間か寝れなかった。それくらいショックが大きかった。

発達障害に対しては早期療育が重要と考えられていて、療育によって本人の困りごとを解決し、将来の自立などを目指します。

療育施設は2種類。未就学児が対象の児童発達支援は兵庫県での利用者が5年間で1.5倍に。小学生以上が利用する放課後等デイサービスは2倍に増加。

重要な社会インフラとなる一方で、事業者数もそれぞれ1.5倍と1.7倍に増えたものの、設備や療育内容に格差が生じるなど千差万別の状況が問題となっています。

医師として、父親として、松尾さんは10カ所も施設を探し回ったそうです。しかし…

(松尾さん)
多くの所を見に行ったがビルの一室みたいな所とか、内容を聞いてみたらとりあえず預かって。
その中で働いている方はすごくいい方が多いが、そこに行って息子がどうなっていくかイメージができなかった。

そこで松尾さんは、自らが副理事長を務める医療法人で療育施設を作る事を決意。施設での見学を重ね、
保護者の意見も取り入れ、去年12月、ついに施設を開設しました。

(松尾さん)
試行錯誤しながら、専門のスタッフが関わってディスカッションしながら、ここがいい施設になっていったらいい。
スタッフがちゃんとその子たちに寄り添うという気持ちを持って一緒にこの施設を運営できたら。

完成した施設は児童発達支援「ソラト」と放課後等デイサービス「ウミエ」。松尾医師がこだわったのは子供たちがのびのび過ごせる空間です。

(松尾さん)
アール(丸)が多いデザインを意識して作っている。また天井も高くして子供たちに開放感を感じてもらえるように。

「ウミエ」は70平米もの広さがり、木と白を基調にしたあたたかみと清潔感のあるつくりとなっています。「ソラト」もコンセプトは同じです。

続いてはプレイルームへ。80平米の広さがあります。

(松尾さん)
やさしい光を意識して、心も落ち着いて過ごせるような光の印象を出している。

その光を届けているのが、天井のトップライト。空からの光が差し込みます。部屋の真ん中には、月のような丸い照明。あたたかい光です。

またアスレチックで自由に遊ぶことができます。階段に上ると2階からの眺めが。そして部屋の片隅の扉から隣の個室に移動も可能。冒険心をくすぐります。

松尾さんの長男の療育では1対1で言葉を引き出します。絵カードで興味を引きつつ、ほめながら「話す・聞く・書く」を楽しく学びます。

息子が(療育に)行きたいと言ってくれるのがすごく嬉しかった。行ったことによって言葉の成長が著しかったので。

さらに療育内容にもこだわりが。療育では珍しい対話型アニメーション教材を導入。

(ウミエ 山本忠雄さん)
お子さんの知識によってはアサガオという言葉をご存じない場合は、青い花と答える場合があるかも分からない。そういったときは逆にチャンスで、この花はアサガオと言いますと、そこで新たな知識を得ていただく。

さらに問題を解くことで卵を育てると、アバターというキャラクターを集めることができます。ポイントを貯めてアイテムを買うこともでき、モチベーションが上がります。

父親として、医師として。療育施設を作った松尾さん。子育てが大切なことを教えてくれたと言います。

(松尾さん)
長男が出来るまでは、(他人と)比べていたが、長男が価値観を変えてくれた。長男のよさ、その子にしかないよさが見えるようになった。
「教育とはこうあるべき」というのが強かったがそれをいい意味でも崩してくれた。これからは長男の特性・個性に合った教育をしていけたら。
息子をしっかり見ながらできるだけ一緒に進んでいきたい。

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