これは私がタカラヅカ沼に落ちた記録のような日記のようなものである。
夫婦して沼に転がり落ちるが。
タカラヅカ、楽しいな……!? ということに気づいた我々夫婦、大人の財力で環境を整えた。
私は宝塚友の会に入会し、会員証を兼ねるVISAカードがすみれ色になった。友が友になってくれない焦燥を味わう日々が始まった。
夫は若かりし日にライブ民であったが、昔取った杵柄を発揮して宝塚の貸切公演をサーチしまくり応募しまくり、そして持ち前のクジ運で当てまくった(本公演は今まで必ず当てている)。
タカラヅカ・スカイ・ステージに加入し、ヅカ兄の勧めに従ってBlu-rayデッキを買い換えた。
ヅカ兄がこう宣ったからである。
「つうかですね、まずデッキを3テラくらいの最新4Kモデルに買い換えて、更に外付けHDDも3テラくらいのを繋げておくことをお勧めします。スカステ録りまくるとHDDがやばいことになるので、BDに移すか外付けHDDに移すのが基本です」
そんな基本があるのか有識者のご意見を聞きたいが、デッキはその時点で最大容量であった6テラに買い換え、更に3テラの外付けHDDを接続した。食らえ大人の財力。
そしてスカステを録画しはじめると、確かに本体容量はちょっと気を抜くと半分以下になるのであった。観たい番組を録るだけでなく、布教に使えると思った作品を余分に録り貯めておきたいという欲が出てくるからだ。
布教のことまで考えはじめた時点で完全に沼っている。沼にハメようとしていたヅカ兄も本望だろう。おまけに夫までついてきた。
ところがこの夫が私を率先して沼に率いていたくせに煮え切らない。
我々、すごい勢いでハマったね~。などと水を向けると、
「いや、俺は別にそこまでハマってないから」
とポーズを付ける。何カッコつけてんだと思ったが、こういうとき下手にいじると逆効果なので深追いはせず放置しておいた。
いつまでこのテイで行くのかと思っていたら、ある日会社から帰ってきていきなり一席ぶち始めた。
曰く、帰りの電車が宝塚のマチネ公演の終演時間とかぶり、観劇後の老若のレディーたちと乗り合わせた。
すると、自分の好きなスターを持ち上げるために他のスターをディスるお行儀の悪いレディーがおられた。
ああいうのは良くないと思う、みんな違ってみんないい、タカラジェンヌは誰もがたった一人の世界にひとつだけの花、讃えこそすれ貶すとはどういう了見なるや。
そもそも全てのタカラジェンヌが青春の全てを懸けて舞台を成立させてくれているのに、その献身に対する感謝が足りないのではないか。
青年の主張か? と言いたくなるほど立派なヅカオタの主張であった。
完全に同意しかないが、この演説がぶちながらまだ「そこまでハマってない」テイで行くのだろうかと観察していたら、その頃を境に夫のポジションは
「前から普通にファンでしたが何か?」
に移行した。
君子は豹変す。
つまり、立派なヅカオタに態度を改めた。
今となっては会社で布教に励み、私に布教用録画セットを作るように依頼してくる。私は夫の頼みでもう5枚ほど録画DVDを作った。
私が言うのも何だが、夫もヅカ兄と同じく勤勉で仕事のできる人である。そういう人は布教もこまめなのであった。しかもヅカ兄より圧が強くないので新規ファンの獲得が上手い。
私はヅカ兄と同じく物量を浴びせてしまいがちなので、連載の当初でヅカ兄の布教方法をダメ出ししたものの同じ穴のムジナだ。
宝塚大劇場では老夫婦が仲良く観劇している姿が日常的に見られる。
我が家は老後に向けて夫婦共通のよき趣味を見つけたようだ。めでたしめでたし。
というわけで、私が沼に落ちたいきさつは以上である。
同じヅカオタの方にはあるあるネタの羅列でしかないかもしれず恐縮だが、この文章を望んでくれた友人があわよくば宝塚に興味を持ってくれたら幸いである。
とりあえず、録画を各組につき2、3本ずつ送りつけてみたいと思う。なあにトータル10本から15本だ、私がヅカ兄に食らった爆弾に比べたらささやかなものであろう。
前回の記事:【私を沼まで連れてって⑦】