第1回 スポーツ中継を観ることのできない今だからこそ…

2020年、10月も終わりを迎えようとしているある日の夜。テレビには阪神甲子園球場で2位・読売ジャイアンツを迎え撃つ首位・阪神タイガース。マウンドにはクローザーの藤川球児が立っていた。

実況「マウンドの藤川。40歳になった今シーズンもクローザーとして活躍。通算250セーブも達成し、充実のシーズンとなりました。ここまで難なく2アウトに打ち取り、バッターは坂本。」

テレビ画面には球場に詰めかけた満員のタイガースファンが背景に浮かぶ藤川の映像、そして、藤川の顔面のアップ。緊迫した雰囲気だ。そして投球へ。

実況「初球はストレートでストライク!」
解説「今日も球が走っていますね。」

次にテレビに映ったのは、この日活躍した大山・ボーア・福留のそれぞれのアップ。

実況「大山は今年苦しみながらも試合を決める一打を多く打ってくれました。ボーアも今日で40本目のホームラン、43歳の福留もダメ押しのタイムリーと、今年のタイガースを象徴するような試合運びとなりました。」

2球目もストライクで球場からは「あと一球」の大合唱。テレビにはベンチから今にもグラウンドに飛び出してしまいそうなタイガースの選手・スタッフが映る。そして矢野監督の表情が。

実況「15年ぶりのリーグ優勝まであと一球。今年は日本一になる、と公言した矢野監督の言葉の実現へ一歩近づきます!リーグ優勝への一球は…。」

藤川の投じた一球が梅野のミットへ。球審の手が挙がった。

実況「タイガース15年ぶりのセントラルリーグ優勝!矢野監督2年目に素晴らしい結果が出ました!」
テレビには両手を挙げて藤川へ駆け寄る梅野、喜ぶナイン、感動で涙するファンが次々と映し出されている―。

新型コロナウイルスの影響で開幕日が未だに見えない日本プロ野球。そのような中、タイガースが優勝する姿を日々思い浮かべながら我々サンテレビスポーツ部も、在宅での勤務を行いながら待ち続けています。まずはこのウイルスの猛威が一日でも早く収束することを願ってやみません。
野球のみならずほぼすべてのスポーツが行われていない現状で、スポーツの力というものが、我々にとって大きいものだったんだなということをあらためて実感しています。

スポーツ中継が無くて寂しい気持ちになっている方々も多くおられると思います。そのような方々に少しでも参考になれば、と今回サンテレビスポーツ部は日々どういうことを行っているのか?『サンテレビボックス席』はどのように成り立って放送されているのか?『熱血!タイガース党』の制作の裏側は?野球以外にはどんなことをしているのか?ということなどをこのコラムで書かせていただきます。

例えば、先に記したようなタイガースの優勝が懸かったシーン。当たり前のようにマウンドの藤川投手を映していますが、本当にそれで良いのか?
もし初球で打ち取り、優勝が決まったらその瞬間はだれを映すべきなのか?バッターが粘ったときには矢野監督のあとに何を映すのか?矢野監督を映すカメラは他に無いのか?万が一打たれたとしたら?など、様々な状況をあらかじめ想定する必要もあります。このような細かい部分の説明なども今後書くことができればと思っています。

スポーツ中継を待ち焦がれる視聴者の方々のみならず、テレビ業界に関心を持つ方々の参考になれば幸いです。
次回は、“そもそもサンテレビスポーツ部ってどういう仕事をしているの?”ということを書かせていただきます。

Bookmark the permalink.

コメントは受け付けていません。