宝塚市で家族ら4人をクロスボウで撃ち殺傷したとして、殺人などの罪に問われた男の裁判員裁判で、神戸地裁は男に無期懲役を言い渡しました。
この裁判は2020年、宝塚市の自宅で、同居する祖母(当時75)と弟(当時22)、それに近くに住む母(当時47)をクロスボウの矢を撃って殺害し、伯母(55)にも重傷を負わせたとして、無職の野津英滉被告(28)が殺人と殺人未遂の罪に問われたものです。
これまでの裁判で野津被告は起訴内容を認め、責任能力の程度と量刑が争点となっていました。
検察側は、「計画性もあり完全責任能力が備わっていた」として、死刑を求刑。
弁護側は発達障害の影響で判断能力が著しく低下した心神耗弱状態だったと主張し、「懲役25年が妥当」としていました。
一方、野津被告は、事件について「後悔はない」「早く死刑になりたい」などと述べていました。
31日の裁判員裁判の判決で、神戸地裁の松田道別裁判長は、「自閉スペクトラム症などが動機形成に影響したものの、著しい影響とは言えず完全責任能力が認められる」
と指摘。
一方で「自閉スペクトラム症などが動機形成に影響したことなど被告に有利に考慮される事情もある」「ただちに死刑を選択するものではない」とし、野津被告に無期懲役を言い渡しました。
