兵庫県は、ケアリーバーの理解促進に努める県内の企業を「ひょうごケアリーバー応援企業」として初めて認定しました。
6月20日、明石市に本社を置く人材派遣会社の「メタルテック」など、4つの企業が認定証を受け取りました。
2025年で創業19年となるメタルテックは、児童養護施設出身のケアリーバ―を実際に雇用しています。
4年前に入社したケアリーバーの「みる」さん。
従業員や取引先に配るタオル、それにポスターのデザインもほぼすべて担当するなど、会社にとって欠かせない存在です。
ケアリーバー みるさん
「暑中見舞いをお客さんに送らせていただいてるんですけど、そのデザインを一からやっていて」
幼い頃に両親が離婚し、物心がついた時には児童養護施設で暮らしていました。
みるさん
「4歳くらいの頃に自然と施設にいた感じ、怖かったです。」
18歳で施設を退所したみるさんは、大阪で一人暮らしをしながら専門学校に通ったものの中退。夜遊びに明け暮れる日々を過ごしました。
頼れる人がいない中、施設の紹介で出会ったのがメタルテック代表の松下さんでした。
メタルテック 代表取締役 松下真由実さん
「もしかしたらこの子のために何かしてあげられるかな、それだけの気持ちでやってみようと即座に決めた」
みるさんをアルバイトとして雇った松下さんですが、最初は苦労の連続でした。
松下さん
「仕事中も遅刻してきたり休んだり、ここから教えていかないとあかんのやなと思った」
みるさん
「社会人としての態度が全然分からなくて、常識が自分の中では常識になっていない。『それ常識やったんや』みたいなのがたくさんあった」
支えられながら、少しずつ働くことに慣れていったみるさん。自分の仕事が誰かの役に立つ喜びを知りました。
みるさん
「面倒見ようという社長の気持ちはすごい。頭が上がらない、ずっと感謝してます」
職場の仲間として、親のようにみるさんを見守ってきた松下さんは、彼女の成長を感じています。
松下さん
「顔が優しくなった。何かが抜けて優しくなった。気遣いができるようになった。」
一方で、ケアリーバ―の認知は進んでいるものの、その支援はまだまだ道半ばだと感じています。
松下さん
「私の会社だけがやっても行政がやろうと言っても、個々にやってはだめだと思う。こぼれていく子がいないように、やれるかもという気持ちを企業が持ってくれたら、そこから一歩踏み出してほしい」


