一部始終をとらえた映像です。六甲アイランドや関西空港など高潮被害をもたらした去年9月の台風21号。
船の上から撮影された高潮の記録映像です。
「これは初めてです。こんなすごいのは初めてでしたね」
東方向から吹き付ける猛烈な雨や風。去年9月4日、神戸市東灘区に停泊していた船の船長が撮影した映像です。
この映像を撮影した神戸大学の実習船深江丸船長の矢野吉治さん。
「あれ潮位が増してきたなと思って。カメラでこっち見たら音声で『えっ』って。」
船や周辺設備を管理するため乗船していた矢野さん。この15分後、風向きが南に変わりました。
「えっ!」
時間の経過とともに 高さが増し、陸地側へと次々と波が押し寄せます。
撮影開始から20分後、高潮の水位は堤防のギリギリのところまで達しました。
その5分後、高潮が堤防を越えました。防潮堤が浸水を防いでいますが、決壊すれば 住宅や工場にも浸水する危険性がー。
「急激に潮位が増してきて 台風の中心が北の方に去ると同時に風が弱まってなだれこんでくる海水も一気に引き始めた。本当に1時間の勝負と言いますかね」
撮影開始から50分後の午後2時半すぎ水位が下がりました。
午後2時45分ごろには、船着き場の地上が見え、周りにはごみが漂着していました。
一連の高潮映像について神戸地方気象台の笠井将伸 観測予報管理官は?
「そうですね、これほど短時間で高潮が急激に、潮位が高くなっている状況というのは、私は映像としては見たことはこれまでありません。」
この映像から分かる台風21号の高潮の特徴は?
「9月4日の台風の接近時は神戸地方気象台では午後1時50分ごろ、最も低くなっていて台風の中心が最も神戸地方気象台に近づいてきたことがわかります。このあと台風の中心が南から北に上がっていく台風に変わった13時50分以降に急激に潮位の高まりが見られたということが分かります。」
深江丸の気圧計でも午後1時50分に気圧が最も低くなっていて、最接近の時ではなく、その後にどんどん高くなっていく様子が確認されています。
「急激に強い風が入って台風の気圧による吸い上げ効果よりも台風に向かって吹き込む南風の吹き寄せ効果、この吹き寄せ効果により急激に潮位が上がったということが考えられます。」
気圧が低くなると海面が吸い上げられる吸い上げ効果よりも神戸では風によって海面が上昇する吹き寄せ効果の影響が大きく、台風の中心が通り過ぎた後に海面が最も高くなったと考えられます。
「風向きの変化とかそういうことがあって急激に潮位が高まることがあります。台風が接近してくる時はその前の段階で潮位の変化があまりなくても、それに油断することなく、早めの対応、早めの避難というようなものを検討していただくことが必要かと思います。」