自分のストレスの対処法を学ぶ授業
兵庫県内の不登校児童・生徒の推移
アドバイスシート
対処法を学ぶ児童
冨永良喜名誉教授
不登校児童・生徒が増加
学校に通う児童・生徒の不登校について、5年間の推移をみると、全国的に年々増加しています。2023年度は全国で約39万人、兵庫県内では1万7137人。県内全体の3.5パーセントにあたります。中でも県内の中学校では、全体の7.6パーセントにあたる約1万人の生徒が不登校で、非常に深刻な状況であることが分かります。
そこで兵庫県教育委員会が、今年度から県内の学校にストレスチェックの導入を推奨しています。児童・生徒がどんなストレスを感じているかを知ってもらい対処法を学んでもらう他、教員に、不登校リスクの高い子どもをいち早く発見できるよう役立ててもらおうという取り組みです。児童や生徒が自らのストレスを知り、対処法を学ぶ取り組みを取材しました。
(取材:サンテレビニュースキャスター 藤岡勇貴)
このWEBストレスチェックを早速授業で導入した伊丹市立瑞穂小学校。5月28日、5年生を対象とした特別授業が行われました。児童たちは、タブレットを使って眠れないか、イライラするかなど、アンケートに回答。結果をまとめたアドバイスシートを見て、自分にはどのようなストレスがあるかを知り、対処法を学びました。
兵庫県スクールカウンセラー 福島美由紀さん
「2倍かけて息を吐く。吸うよりも吐く方を長くする。これがポイント。吸って吐いて吸って吐いてというのをやるよ。自分のタイミングで。ここまでいってまだ落ち着かない人は往復する」
自分のストレスを知って対処法を学ぶだけではなく、教員が、子どもたちの敏感な心の変化やSOSをくみ取って不登校リスクをいち早く見つけ、対応する狙いもあります。
例えばこんな嫌なことを言われたら。
「何描いているの?アンパンマンや。アンパンマン好きなん?きもい。子どもっぽい!」
どんな返事をするかグループごとに相談して考えました。
児童の返事例
「自分が描いているならなんでもいいでしょう!」
「やなせたかしさんに謝ってください!」
嫌なことを言われた時の対処法として、トラブルを回避するため、3つの段階を踏んで回答する方法があるそうです。
① 今の様子を伝える(できたら相手の気持ちを受け止める)
② 自分の気持ちや事実を伝える
③ 新しい提案をする
例えば、怒ったメールやLINEのメッセージが届いた時、福島さんは、このように返事をすると良いとアドバイスしました。
① 「何々ちゃん怒っているんだね」とまず相手に言う
② 「でも私はこうこうだったんだよ」
③ 「だから今度こうしない?」
授業を聞いた児童
「さわやかに言うのが大事だと分かった」
「ストレス対処法の結果を知って、ストレスを感じた時に役立てたいと思いました」
兵庫県スクールカウンセラー 福島美由紀さん
「実際の現場でどういう風に話をすると、ストレスがたまらずに済むかということまではアドバイスシートの中には書いていない。その辺を授業で補足する形で自分のストレスが少しでもたまらないように、どういう風な会話をするといいのかを中心に授業ができた」
眠れないよという声を聞いてあげてほしい
2025年4月、兵庫県教育委員会は研修会を開き、県内のスクールカウンセラーがWEBストレスチェックの活用方法について学びました。
兵庫教育大学名誉教授 兵庫県立大学名誉教授 冨永良喜さん
「自分のイライラはとても大事なことで、いい表現に変えていくことができるよ。イライラを少し小さくすることができるんだよということをまずは知ってもらう。実際に練習する。息をふーっとゆっくり吐くだけでイライラが小さくなった。知らなかったという子が小学校低学年だと多いんですよ。そういうことを学ぶ時間をきちんととってほしい。(先生は)得点の高い子を見つけ出そうというよりも、眠れないよという声を聞いてあげてほしい」
2025年度、兵庫県教育委員会は、30の県立高校で実際に導入して効果を検証するほか、ストレスチェックを行っていない自治体の教育委員会に導入を呼び掛けています。