チームスローガン「百%」をバックに ヴィクトリーナ姫路
シーズン開幕前の壮行会 /昨年9月
「ユース15」監督に就任した井上愛里沙さん /6月6日
(左)コーチに就任した柴田真果さん、(右)アヴィタル・セリンジャー監督
■上原社長に聞く(下)
今シーズンから新たにスタートしたバレーボールの国内最高峰・SVリーグ。
男子は平均入場者数が前シーズン(V1)から4割も増え、3021人と好調だった。
しかし女子は平均1201人と前シーズンの7割にとどまり、ヴィクトリーナ姫路も平均1424人と伸び悩んだ。
前回に続いてチーム運営会社「姫路ヴィクトリーナ」の上原光徳社長(64歳)に聞いた。
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Q.平均入場者は1400人―
「寂しいですね。(ホームゲーム22試合のうち姫路以外の)岡山市と鹿児島県川内市(で開催した4試合)を除くと、(平均)1620、30人ぐらい。(昨年12月に)皇后杯で優勝したあとが、1800から2000人ぐらいなので、2000人いくか、いかないかが今の実力かなと」
Q.試合数は44試合に増えた―
「試合数が増えることで収益が増える。お客さんも増えると思っていましたが、自分たちが持っていた「KPI」(重要目標達成指標)に届かなかったのは誤算でした。
特に(皇后杯で)優勝して、もっともっとお客さんに足を運んでいただけるかなと思ったのですけれど、そこまで行かなかった。
優勝すること・人気選手がいることを、集客に比例させるには、もっともっと戦略を考えなくてはいけないと、すごく実感しました」
■ファンサービスできていない
Q.観客を増やすためには―
「今まではチームをブランディングしていたが、(これからは)『個』に(スポットを)当てていく。
(日本代表の)宮部(藍梨)や、(タイ代表の)チャッチュオン(・モクシー)や、(ルーキーで日本代表登録メンバーの)秋本(美空)・河俣(心海)や、強い選手がいるわけですから、そこにスポットを当てたプロモーションをしようと(考えている)」
Q.ファンサービスは―
「全然できていなかった。(これからは)1人1人の選手たちはプロだから、ファンに向き合って、ファンサービスをするという方針で行く。例えばコートサイドに(選手と)ハイタッチができる権利をつけた席(を作る)とか…」
「1年365日のうち、ホームゲーム(があるの)は22日。22試合で1年間のことを片付けようという考えだと、しんどいので、(残りの)343日間に、我々が地域とどう向き合うかがすごく大事なんです。
(そのため)シーズン途中に『ホームタウン部門』を作って人材投入をした。(皇后杯優勝の)トロフィーを持って、商店街に行ったり、行政に行ったり…。いろんな地域活動の中に22試合のホームゲームがあるという感覚でないと、なかなか難しい」
■中学生チームを設立
(ヴィクトリーナ姫路は5月、中学生世代のユースチーム「ユース15」を設立し、現役引退した元日本代表・井上愛里沙さん(30歳)が監督に就任すると発表した。
井上さんは6月6日の記者会見で、「1人でも多く海外で活躍する選手が出るような手助けができればいい」と決意を語った。
「ユース15」は兵庫県内などから選手を募集。7月上旬にセレクションを行い、7月下旬から練習を開始する予定)
Q.中学生チームを設立―
上原社長
「ユース(チームの設立)はSVリーグのライセンスの条件になっているので、我々も2025-26シーズンから本格的にユースチームを立ち上げます。トライアウトもして、兵庫県内から優秀なユースを集めて、こちらでも日本一を目指す」
Q.ユース15のあとは―
「U18はないので、(ユース15を終えたあと)いったん高校(チーム)に行き、(そのあとヴィクトリーナに)戻って来るといいですね」
■来季も「百%」で
(ヴィクトリーナ姫路は、井上さんのほか、セッターの柴田真果キャプテンをはじめ、松本愛希穂、荒谷栞、野津亜珠佳、森木かれんの計6選手が今シーズン限りで現役引退。
アナ・フヂゲル(ブラジル)とリベロの森田茉莉が退団した。
柴田さんは6月1日付でコーチに就任した)
Q.井上・柴田が抜けた―
「スキルだけでなく精神的な支柱だったので、(抜けた穴は)大きいです」
Q.どう埋める―
「エースアタッカーを外国人でしっかり採っていくのと、メンタルコーチ的な役割りとして柴田を置いた。
アヴィタル・セリンジャー監督は、(オランダの)代表監督や、いろんなプロリーグでやってきた監督なので、監督のハードな練習についていける選手。プロ意識を持って、これで稼ぐんだという人を呼びたいです」
Q.最後に来季への思いを―
「いい時も悪い時も、『百%』がうちのチームスローガン。
勝っても負けても、100%でやっていることで感動を与えられるような試合をやっていきたいと思いますね」
(浮田信明)