「姫路ヴィクトリーナ」上原光徳 社長
皇后杯で初優勝 (2024年12月 Asueアリーナ大阪)/ 撮影:浮田信明
(左から)21矢田和香、1秋本美空、20河俣心海 /1月
■上原社長に聞く(上)
女子バレーボール・ヴィクトリーナ姫路の2024-25シーズンが終わった。
新たにスタートした国内最高峰のSVリーグでは27勝17敗と健闘し、6位でプレーオフに進出したが、第1関門の準々決勝で敗れた。
一方、昨年12月の皇后杯では難敵を次々に倒して決勝に進出。
SAGA久光に逆転勝ちし、チーム創設9年目で悲願の初優勝を遂げた。
大きな成果を上げた今シーズンについて、チーム運営会社「姫路ヴィクトリーナ」の上原光徳(うえはら・みつのり)社長(64歳)に聞いた。
(浮田信明)
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Q.シーズンを振り返って―
「チームは本当によく頑張って成果を出してくれ、誇りに思います。やっぱり皇后杯で優勝したのが大きかったですね」
Q.SVリーグはレギュラーラウンド44試合―
「選手や監督に聞くと、めっちゃハードだったと。(前年、V2で)19試合(だったの)が、44試合。プラス皇后杯予選や、ファイナル(プレーオフ)の試合を全部入れたら、もう50何試合で、へとへとになってしまう」
■フルセットに自信
(高校チームからSVチームまで参加し、トーナメントで日本一を争った2024年度「皇后杯」。ヴィクトリーナ姫路は順調に勝ち進み、決勝で最多8回優勝の強豪・SAGA久光と対戦した。第1・第2セットを先取されたが、第3・第4セットを取り返し、最終セットは15-13で制した)
Q.皇后杯決勝は先に2セットを取られた―
「実はちょっとダメかと思いました。(逆転勝ちに)もう感動しかないですね。スポーツエンターテインメントを証明できる試合だったと思います」
Q.自信になった―
「今まで競り合っても、なかなか(試合を)取れなかったのが、『フルセットになったら自分たちのものだ』と選手たち自身が言っている。(フルセットで)負けた試合もありますけど……」
Q.一方、リーグ戦の成績は貯金10で6位―
「正直なところはベスト4に(行きたかった)…。(勝てた)試合もあったので、勝ち切ったら、ファイナルは姫路で(開催できた)。そこの悔しさはあります。
でも元々は僕の中では、(1年目は)ベスト8が目標だった」
Q.2月に5連敗も―
「モチベーション的に(皇后杯が)頂点だったので、年明けに緊張感がちょっと…(ゆるんだ)。毎週毎週(土日に)2試合で、(疲れも)ピークに来ていましたね」
Q.プレーオフ準々決勝で久光に0勝2敗で敗退―
「チャッチュオン・モクシー(タイ代表)が出場できなかったのが大きい。うちの4番バッターですから。田中咲希も捻挫して、万全ではなかった」
■高校生トリオが新風
(ことし1月、秋本美空(共栄学園高 185㎝)、河俣心海(下北沢成徳高 183cm)、矢田和香(今治精華高 186cm)の高校生トリオが入団。
秋本は終盤の12試合に起用され142総得点。河俣も8試合で75総得点と活躍した)
Q.終盤に“スーパー高校生”が活躍―
「ここまで(活躍する)とは思っていなかったです。高校生なので1年、2年、育ててコートにという目的だったが、まさか、あんなに点数を取るとは想定外でしたね」
Q.セリンジャー監督は当初、起用には慎重―
「新人選手は(相手チームに)狙われると監督も言っていました。絶対に叩きのめされる。最初に叩かれたことがトラウマになる選手もいるらしいので、出し方をすごくケアすると。しかしそれを超える活躍…心配いらなかった(笑)」
(4月、秋本と河俣は、宮部藍梨とともに2025年度の「日本代表チーム登録メンバー」に選出された。
6月に開幕した3大世界大会の1つ「ネーションズリーグ(VNL)」の登録メンバー30人にも入り、秋本は初戦のオランダ戦で代表デビューを果たした。また矢田はビーチバレーボールU21アジア選手権の代表に選ばれた)
Q.秋本・河俣はVNLに―
「VNLで成長して、姫路のあの選手が日本を動かしたというぐらいに、活躍してくれるのではと思います。海外で戦うのは大きな経験になる。
井上愛里沙や宮部が(パリ)オリンピックから帰って、『(相手選手の)オーラが違う。ここで勝ったら自分の生活が変わるというハングリーさがビンビン来る』と言っていました。(秋本・河俣の)2人が(世界の)コートに立って成長して、会話の内容が変わっていくのが楽しみです」
(続く)