【神戸ストークス】チームを強化、「プライド懸けて来季は優勝する」

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  • 株式会社ストークス 渋谷 順社長

  • 残り4秒からミラクルプレーを見せた 13道原紀晃、左は9谷直樹 (ジーライオンアリーナ神戸) /画像提供:神戸ストークス

  • (左)30金田龍弥、(右)90野溝利一

  • 神戸ストークスの歴年成績

■渋谷球団社長に聞く(下)

今シーズン、B2神戸ストークスは25勝35敗と負け越し、プレーオフ進出も逃した。

チームに残るのは、来シーズンでストークス15年目となる谷直樹(たに・なおき 36歳)、14年目となる道原紀晃(どうはら・のりあき 35歳)、成長著しい金田龍弥(かねだ・りゅうや 24歳)、特別指定選手として活躍した野溝利一(のみぞ・りいち 22歳)の4選手のみ。

2026年にスタートするトップリーグ「Bプレミア」への参入が決まり、実力派選手の獲得が続々と発表されるなど、神戸ストークスは大きく陣容を変える。

前回に続き、株式会社ストークスの渋谷順(しぶや・じゅん)代表取締役社長(61歳)に聞いた。

(浮田信明)

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Q.チーム最古参・谷が残留–

「今シーズンはケガをして不完全燃焼だったと思うが、終盤戦プレータイムが減っても、ベンチからパッと出てきて、バチっと決めるケースもありました。またディフェンスへの意識がかなり高くなってきて、今は若手並みにボールにダイブするようなこともあります。次の1年は若手のお手本になって、このクラブを代表する選手であることを、名実ともに示してほしいです」

(谷の今シーズン成績は27試合出場、平均得点2.3)

■メンタル強い道原

Q.谷と並ぶベテラン・道原は–

「彼は、何がなんでも勝つという強いメンタリティがある。プロバスケットボール選手としての強いプライドを持っている。選手として、自分のキャリアをしっかり考え、結果を残そうとしているので、来シーズンもまだまだ主力として期待できると思います」

(4月5日の「ジーライオンアリーナ神戸」のオープニングゲーム。4点リードされ、試合残り4秒の場面、フリースローを得た道原は1投目を決め、2投目はわざとリングをねらい、跳ね返ったボールを野溝にパス。野溝が同点の3ポイントシュートを決めた)

Q.ミラクルプレーも–

「あの(同点の)あと、オーバータイム(延長戦)に入ってから、(道原は3ポイントシュートを含む7得点を挙げ)めちゃくちゃ良かった。(同点に追い付いて)終わりではなくて、絶対勝つんだという彼の意欲の現れでした」

■若手の成長

(スモールフォワード(SF)の金田は今シーズン全60試合に出場。51試合でスターターを務めた。平均得点5.1)

Q.金田は成長した–

「(チームで)最も成長した選手だと思います。なんと言ってもディフェンスです。いま、Bリーグにいる外国籍選手は、昔みたいにセンターとパワーフォワードばかりではなく、点が取れるスモールフォワードが相当います。その外国籍のスモールフォワードに金田はしっかりマッチアップできる。めちゃくちゃ良くなりました。キャッチアンドリリースでのアウトサイドシュートもレベルアップしてきています。ディフェンスを切り裂く突破力も十分なので、来シーズンはさらに積極的なプレーを求めていきます」

(司令塔となるポイントガード(PG)の野溝は山梨学院大4年時の昨年12月、「特別指定選手」としてチームに加わり、165㎝の体を一杯に使ったプレーを見せた)

Q.野溝への期待は–

「バスケットボールの選手には、セルフィッシュ(自分本位)なプレーをしても、ある程度許される選手がいる。恐らくそれはその選手の姿勢であり、結果であり、成長があるからこそ。野溝はそういうものを持っている選手です。日ごろからのパフォーマンス、アグレッシブな感覚が表現できているからです。何かあった時に、野溝は頼られる選手になっていく。将来、サイズの問題はありますけれども、日本を代表するポイントガードになる可能性は十分にあると思います」

■2026年にBプレミア

(Bリーグは来シーズンでB1・B2・B3のカテゴリーがなくなり、2026年秋からは「Bプレミア」・「Bワン」・「Bネクスト」に分かれる。神戸ストークスは、売上げ・入場者数・アリーナの3条件をクリアし、最上位のBプレミア参入が決まった)

Q.来季はB2最後のシーズン–

「来シーズンは何の言い訳もなく、B2で絶対、優勝です。B2で優勝して(Bプレミアに行くの)でないと、『アリーナのおかげだけでプレミアか』と言われる。そう言われるのが、絶対に嫌なことなので、来シーズンは、プライドを懸けて、何がなんでもB2で優勝する1年(としたい)」

Q.チーム強化は–

「勝てるか負けるかというのはクラブの総合力。単純にいい選手を取ったから勝てるわけでもない。クラブ全体のマネージメントの視点では、まず組織をいま強化しています。1年半前には10名程度だった社員が、今は30名を超えています。そしてガバナンスも含めて、しっかり組織として遂行することがクラブとしては最も重要なので、今回、西村副社長(=西村大介氏。48歳。京大アメリカンフットボール部監督、Bリーグ滋賀や茨城の社長などを歴任。4月1日付で株式会社ストークス代表取締役副社長に就任)に来てもらって、急速にフロントのレベルアップを図っていただいています」

「2つ目は、アリーナができて練習などの環境は整備されてきましたので、次はチームスタッフの視点。チームスタッフは今シーズン以上に充実させ、B1クラスの体制に近づくと思います。それで、最後はやっぱり選手。はっきりと勝利のメンタリティを携えて、少々自分本位でも、勝つことへのどん欲さからコミュニケーションできる選手に集ってもらうことが非常に重要です」

Q.最後にジーライオンアリーナ神戸について–

「アリーナスポーツであるバスケットボールの会場は、エンタメ要素も強く、ある意味では非日常空間であって、ここでの異次元の経験は、やはりすごいものがある。野球でもない、サッカーでもない、バスケットボールならではの熱狂と感動というのは、グローバルに見てもカルチャーとして根付いてきていると思います。それを日本のマーケットでもしっかりやっていけば、新しいプロスポーツ興行の価値を形成できると思っています。これまでの体育館では絶対できなかった演出に触れ、それに沿うだけの選手のパフォーマンスと競技力を発揮できれば、来シーズン、十分にアリーナの価値を感じていただけると思います」

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取材のあと神戸ストークスは、B1でもトップクラスのPG・寺園脩斗(前B1北海道)、八村塁の弟で身体能力が高い八村阿蓮(あれん=前B1群馬)、日本人有数のシューター・木村圭吾(前B2福井)ら、実力ある選手の獲得を次々に発表した。

「STORK」とは兵庫県の鳥・コウノトリ。

“新生”ストークスは来シーズン、大きく羽ばたくか。

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