息子への思いを語る土師守さん
当時小学6年生だった土師淳君
1997年に起きた兵庫県の神戸連続児童殺傷事件で当時小学6年生だった土師淳君(当時11)が殺害されてから2025年5月24日で28年です。
父親の守さんがサンテレビの取材に応じ、今も変わらない息子への思いを語りました。
「日常的なところで思い出すことはあります。知的発育障害がありましたので普通の子と同じとはいきませんけど、私たちにとっては素直で優しい子だった」
1997年2月から5月にかけて兵庫県神戸市須磨区で起きた神戸連続児童殺傷事件では、小学生5人が相次いで襲われ、2人が命を奪われました。
当時小学6年生だった土師淳君は、1997年5月24日に殺害され、遺体の一部が近くの中学校の正門で見つかりました。
逮捕されたのは、淳君と顔見知りだった当時中学3年生の少年(当時14)で、事件は少年法改正のきっかけにもなりました。
「孫もできましたし夫婦にしましても年相応の姿になってきます。思い出す子どもの姿と差が広がっていく28年という長い年月を感じます」
土師さんは、事件後、犯罪被害者や遺族の権利獲得に向けた活動に取り組んできました。
2023年には兵庫県が犯罪被害者等支援条例を施行。土師さんも制定に携わり、遺族としての願いを託しました。
活動の根底には、自分のような思いをする人がこれ以上生まれないでほしいという思いがあります。
「自分たちが事件に遭った時は本当に何もなくて苦しい思いをした。これから被害に遭う方々が私たちと同じような思いをしないように活動をすることが子どもへの供養にもなるのではないかと思っています」
一方で、加害男性からの手紙は、2017年を最後に途絶えました。それでも「事件の真相を知りたい」という思いは変わらず、今も納得のできる「解答」を待ち続けています。
「親としては子どもを守ってあげることができなかったということがあるので、それに対して私たち親としての責任だと思っています。なぜ子どもの命が奪われなければいけなかったのか私たち自身が納得できる『解答』がほしい」
犯罪被害者を取り巻く環境は、土師さんたちの活動で大きく変わりました。しかし、子どもたちの尊い命が奪われる悲惨な事件は後を絶ちません。大切な息子を奪われた遺族として今、社会に願うこととは。
「被害者や被害を受けた人の家族の気持ちを考えると本当につらいなと思います。できるだけ悲しい事件がなくなるような世の中になってほしいかなと思います」