村井紀之県警本部長
兵庫県警提供 優勝した兵庫県警交通機動隊
楽曲制作の様子
YouTube「青森応援AOチャンネル♪」
年頭視閲式の白バイ隊
青森応援AOチャンネル♪「青い森のむこうに」
■全国白バイ安全運転競技大会で団体優勝
兵庫県警交通機動隊。白バイやパトカーで、交通取り締まりや事件事故発生時の対応にあたるほか、皇族や国賓などの警衛警護。地震や水害など被災地の支援活動を行っている。
2024年10月、茨城県で行われた全国白バイ安全運転競技大会。運転技術を競う大会で、26年ぶりの快挙となる団体1部優勝を果たした。白バイ隊員たちの快挙をたたえようと、2024年11月、オリジナルソングが制作された。この曲を作詞・作曲したのが兵庫県警の警察官や職員約1万3000人を指揮する村井紀之(むらいとしゆき)本部長だ。
村井紀之本部長
「1年でこんなに結果が変わるものだなというぐらいの素晴らしい結果でしたから。聞いた時、本当にそんな成績取れたのという衝撃でしたね。
なかなか生きていてこんな衝撃そうそうないレベルでした」
その前の年は8位。
全国優勝という好成績に衝撃を受けた村井本部長は、創作意欲がかき立てられた。
村井紀之本部長
「兵庫県警察として彼らの出した結果をやっぱりどれだけ称えられるのかというのは真面目なテーマとして考えなきゃいけない中で、
あくまでも私の中では個人の活動なんですけれども、自分にできることがあるなっていうことで創作意欲が急激に高まった」
伊丹市出身の村井本部長。
灘中学・高校、東京大学法学部を卒業後、1990年に警察庁に入庁した。
青森県警本部長や内閣官房内閣審議官などを経て、2023年3月、故郷兵庫県の県警本部長に着任した。
■県警本部長のもう一つの顔
普段は県警本部長として厳しい視線を注ぐ。一方で、自宅では趣味として行っているもう一つの顔がある。それは、パソコンを使った楽曲制作だ。
「一般的にパソコンで音楽を作るときには、DAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)といわれるソフトを使う。私が使っているのはこれになります」
楽器の演奏が得意な人は自ら演奏した音を収録することも。村井本部長は、楽器を使わずにパソコン上のキーボードで音楽を制作している。
「上からストリングス系の音、シンセサイザー系の音、あとギターに、ベースにドラムといったような形で私は並べています。
ここに音を打ち込んでいきます。これを触りながら作曲をしているというふうに思われるかもしれませんけどそうではなくて、
作曲は先に終わっていてそれを元に音を作っていると感じですね」
■輝く風になれ【交通機動隊・白バイ隊員に捧ぐ】
白バイ隊の快挙に感激し、音楽で隊員たちをたたえたいと制作した曲が「輝く風になれ」。
「本部長、私たち兵庫県警のトップが優勝で歌を作曲してくださったこと。本当にすごいことを私たちは成し遂げたのではないかなと驚きが1番でした」
警察官の士気を高めようと毎年、年明けに開いている年頭視閲式。白バイ隊によるテクニカル走行で使用された曲の1つが「輝く風になれ」だった。
「BGMの一つとして使わせていただけないかという話があったので これは私が押し付けたわけではありませんのでそこだけは強調してもらいたいんですけど、
そういうお話があったのでそういうことでしたら 協力させてくださいということで 音源の提供をしたと。
私はやっぱり白バイは走っていて白バイだろうと思っていまして。ただそれでも取り締まりのために走っているんですというようなとらえ方ではなくて、
やはりその県民の皆さんに何かしらキラキラしたものを運ぶことができる存在なんだということを隊員の人たちに伝えたい」
■歌詞とメロディーが青森で突然舞い降りた…
大学時代はバンド活動に打ち込んだ。当時作詞作曲した曲も歌声を合成するソフトで制作。
神戸の映像を交えたミュージックビデオを仕上げた。警察の仕事に専念し、しばらくは楽曲制作から遠ざかっていた。
しかし、青森県警本部長時代の2021年春、買い物に徒歩で向かう途中、突然歌詞とメロディーが舞い降りた。
「なんかこう突然、 天から降ってきたと私は普段言っているんですけれども、 やっぱり青森での生活が私にとって印象深いものがあったってことだろうなというふうに思っています」
2022年8月には、「青森応援AOチャンネル♪」というYouTubeのチャンネルを個人で設立。
「青森に恩返しがしたい」と、ユーチューバーとしてこれまでに8曲の青森応援歌を制作し公開した。映像も、過去に撮影した動画やフリー素材を使って自ら編集している。
石川県警にも赴任していた時代があり、2024年は「いつかは春が来る」と能登半島を応援する曲も。
Q村井本部長は自分の声を入れないのか
「1回だけやりました。もう二度とやらないようにしました。東京の自宅でまずスタジオでもないところで 声を出すのもどうなのっていうところで 家族に聞かれたら何してんのって言われそうで。こっそり録音していざ聞いてみたらあまりにも音程が不安定で」
Q今後、兵庫県の曲を作る予定は
「18までここで兵庫で生まれ育っているということが、私のベースを作っているということもあるわけですから、一期一会感はないかもしれないけれども、もっとディープな帰属意識というか愛着というかというのがあるんだったら、将来的にはやらないこともないのかなという気もしています」