「地味」な放送
第二副調整室  夕方の時点でスタッフの数は約50人に増えていた。

 それでも全社員の3分の1。

 被害状況を追いかけるのが精一杯だった。

 程度の差はあれ、スタッフのほぼ全員が被災者だった。

ニューススタジオ  放送しながらも自宅に残してきた家族のことが気にかかる。

 水・食料・電気・・・。

「これこそが被災者にとって必要な情報だ」

 深夜のミーティングで

「ライフライン情報」と「生活情報」に

 力点を置くことを決めた。

ライフラインのテロップ  同時に、「センセーショナルな映像を繰り返し放送しない」

「取材の際は、被災者への配慮を怠らない」ことを確認した。

 画面一杯に文字テロップを映し、

 アナウンサーがゆっくりと淡々と読み上げる。

ライフラインのテロップ 「生活情報」は大変「地味」な放送だった。

 視聴者である被災者に

 少しでもわかりやすいようにと考えて、

 必然的に地味になった。

 給水場所などは「○○を始め○カ所」という表現を使わず、

 全ての場所を紹介した。

散乱した報道部室内  しかし、電話がつながりにくい中での

 情報収集は困難を極めた。

 当初、鉄道・市バス・道路状況などは出来るだけ詳しく、

 と思い、比較的電話がかかりやすい深夜に

 情報収集を行った。

 相手先には多大な迷惑だったろうが、

 いずれも快く応対していただいた。


 

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